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MMORPGの普及を妨げる「お約束」「セオリー」「常識」という名の魔物 CEDEC2013藤澤仁D講演その2

2013年8月21日(水)「日本人のための MMORPGの開発」 ~「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」の挑戦~より

http://cedec.cesa.or.jp/2013/program/GD/10140.html

以下、ドラゴンクエスト10ver1.5までのディレクターを担当した藤澤仁氏による講演記録です。

その1 ドラゴンクエスト8・9・10それぞれの挑戦 CEDEC2013藤澤仁D講演その1

 

 

 

ドラクエは変わらないもの?

 

よくこんなことを言われます。「別に挑戦しなくてもいいタイトルではないか」とか、あるいはこんな言葉を聞いたことがある方はいないですかね「FFは変わるもの、でもドラクエは変わらないところがいい」とか。また、4年前にまさにこの会場でセッションさせていただいたんですけれども、その時のタイトルが「国民的ゲームとは何か」というタイトルで、そういうふうに呼ばれているゲームがなぜ毎作そんなにも挑戦するのかということを今日のこのセッションの最後にお答えするセントラルクエスチョンとして設定しておきたいと思います。

 

 

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人に気を遣いながらRPGなんてしたくない

 

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では本題に入っていきたいと思いますけれども。まず時間を遡りまして、ドラゴンクエスト10の発表のころの話をしたいと思います。ドラゴンクエスト10が、みなさんが認識されたタイミングというのが発表されたタイミングだと思いますが、こちらは2011年9月5日、ですのでもうほぼ2年近く前ですが、ドラゴンクエスト10がMMORPGであるということが世の中に発表されました。その当時の多かったご意見というのは、こういったものでした。まず「ドラクエ本編でなければよかったのに」。また「人に気を遣いながらRPGなんてしたくない!」と。まぁ、非常に率直なご意見ではあるんですけれども、世の中にとってドラゴンクエスト10がMMORPGであることは、必ずしも歓迎された出来事ではなかったという逆風の中でのスタートということになりました。

 

 

 

RPG=「読書的」、MMORPG=「冒険的」な楽しみ

 

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特にですね、人に気を遣いながらRPGなんてしたくないという言葉を聞いたときに、あっ世の中ってこういう図式なんだなって思ったことがありまして……要するに皆さんが認識されているRPGっていうのは、MMORPGはRPGってついてますけど、ぜんぜん別の物として認識されるんだなぁっていうことをとても強く感じました。これは言葉としてまとめますと、RPGっていう言葉自体の定義はおそらくいろいろあると思うんですね。役割を演じるゲームだからロールプレイングゲームだとか……そういう定義的な話はよくあるんですけれども、そういうことではなくて。

一般的にドラゴンクエストであるとか、据え置き機で遊ぶRPGというのは、主に1人で没頭して楽しむ言わば冒険小説を読むような読書的な楽しみのものだったと思います。ですがMMORPGは世界には自分以外の人間がいますから、それは言わば大勢で挑む冒険的な楽しみであって、これはまったく別ものだという認識をされたんだなと、理解しました。ただですね……そうだろうなぁと思いました。ちょっとこう言うと生意気な感じしちゃうんですけど(笑)あの、そういう風に世の中が認識する気持ちはとてもよく理解できました。

なぜなら自分も最初、ドラクエをオンラインゲームにすると聞いたとき、同じことを思ったからです。本編にするべきでないとか、ロープレは1人で遊びたいんだということを、僕も思いました。

 

 

 

なぜなら自分も最初、同じことを思ったからです

 

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なので、さらに時間を巻き戻しましてドラゴンクエスト10の開発最初のころのお話をしたいと思います。ええとですね、私はいま(2012年当時)ドラゴンクエスト10のディレクターなんですけれども、ちょうどですね、先ほどお話ししたドラクエ8が終了したころに10のスタッフとして誘っていただきました。……9はどうしたんだっていう話※があると思うんですけれども、ちょっとその話は今日の内容からは外れますので省略させていただきます。

(※ドラクエ9はどうしたんだ → 開発・運営だより-第14号- 2013/12/2

 

 

 

命を賭けて作ったドラクエ8の次のキャリア

 

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この当時の私の気持ちですけれども、こんなことを思ってました。「MMOなんて遊びたくもない」「自分が遊びたくないものは作れない」「そもそも知らないし、やったことないんで」。なので一度お断りをすることにしました。ええとですね、先ほどもちょっとお話ししましたけれども当時ドラクエ8に本当に命を賭けて作ったゲームだと言ってもいいぐらいにやっていまして……その次のキャリアとして自分がやるものが、自分がまったく知らないものをやるというのは正直ごめんだと思ったんですね。なので最初は、それはすいませんできませんという形で、お断りをすることにしました。ですが、実際にいまディレクターをやっているのには3つの理由があります。

 

1つは、自分で経験することで見えた2つの問題点。2つ目は、チャレンジャーとして臨める環境。3つ目、仲間たちからの勧誘。というのがあってディレクターの就任を決めました。1つずつちょっと詳しく話をさせてください。

 

 

 

面白く感じるまでのハードルがあまりにも高い

 

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まず1点目です。自分で経験することで見えた2つの問題点というのは……まず問題点の1つ目です、ええとですね、いいから遊んでみなよって当時プロデューサーからよく言われたんですね。なので、ただやってみて、やっぱ性に合わないんですね。他のプレイヤーがいる世界で遊ぶっていうことがどうにも性に合わなくて、何度も挫折をして、それでもずーっとやり続けてみました。そしたらですね、ある日突然面白くなったんです。面白いんですけれども、そこに到達するまでのハードルがちょっとあまりにも高いというのが問題点の1つ目だなというように認識をしました。

 

 

 

「お約束」「セオリー」「常識」という名の魔物

 

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そして、問題点の2つ目です。MMOの世界に潜んでいた目に見えない魔物というものに気がつきました。この魔物というのが何かと言いますと……「お約束」「セオリー」「常識」と。どれも似たようなことを言っているんですけれども、実際にドラゴンクエスト10の開発をしている途中にですね、特にMMORPGに詳しいスタッフたちから、よくこういうことを言われました。「藤澤さん、オンラインゲームの世界ではこれが常識なんですよ」と。あるいは「このセオリーが正しいことは歴史が証明してるんです」そんなことをよく言われました。ただですね、そのスタッフのことを弁護しておきますと、彼は本当にオンラインゲームに詳しくて、僕が知らないということを心配して、ドラゴンクエスト10がもっと面白くなるようにという気持ちでその一心で言葉を言ってくれたのはあるというのと、実際この常識というものに助けられて無駄な議論に時間を費やさずに済んだという場面があったということは確かです。

 

 

 

ゲームデザインは自由であるべき

 

ただ、ええとですね、この常識やお約束やセオリーというものがごちゃごちゃになってるんですね。何かと言いますと、えー、オンラインゲームというものは複数のプレイヤーが1つの世界に集まってくるわけですから、それは1つの共同体なんですね。共同体を維持するための常識、セオリーって確かにあるんですよ。なので、そこは守らなければいけない常識であったりセオリーであったりするんですが、一方でゲームデザインは自由であるべきだと思うんですね。ですが、ゲームデザインのところまでこれが常識だっていう常識が侵食してきてしまっている。その常識っていうのは何かというと、実はすでにオンラインゲームで遊んでいる熟練プレイヤーたちが突き詰めた効率の良さであるとか、そういったものがオンラインゲームという業界全体にはびこっていた、というように私には見えました。

 

 

 

「常識」「効率の良さ」が初心者の参入を妨げるという状況

 

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なので、MMOPRGというジャンル、実はまだ日本でメジャーになっていない、普及していないジャンルで、これからどんどん新しいことができるはずのジャンルなのに、初心者の参入を妨げるという状況、すでに先鋭化が始まっているというのが、問題点の2つ目であるというように見えました。

 

 

 

新しいものが世の中に評価されるかどうかを問う

 

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えー、ちょっと話が戻りまして、ディレクターに就任したことを決めた3つの理由の2つ目ですが、ここはちょっとさっと流したいと思いますが。チャレンジャーとして臨める環境で……少し僭越なお話なんですけれども、私は堀井さんのアシスタントとしてゲーム業界に入ったので、ずっとドラクエを作ってきてですね、絶対に外すことができないという環境で仕事をしてきたということもあって、何か自分たちが考えた新しいものが世の中に評価されるかどうかということを問うという場面で仕事がしたいというのはすごい欲求として強かったので、それがひとつ魅力的な環境として見えました。

そして3つ目は仲間たちからの勧誘として、私がドラゴンクエスト10のディレクターになったころ、すでにスタッフにはオンラインゲームのプロが揃っていました。名前を挙げます。現在のプロデューサーである齊藤陽介は当時まだ国産では数えるほどしかないオンラインゲームのプロデューサーの経験者でした。吉田直樹は現在『新生FF14』のプロデューサー兼ディレクターですが、当時まだキャリア的にはあんまり恵まれた状態では無かったんですが、熱意、知識、そういったものがバリバリのオンラインゲームのプロでした。また安西崇は、これもまだ日本で数えるほどしか無かった『信長の野望Internet』のディレクター経験者でした。

 

 

 

オンラインゲームを作っただけではもう普及しない

 

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こういったスタッフが揃っているなかで、私が入っていって自分がディレクターを務めるということにどういう意味があったのかというと、オンラインゲームを作っただけではもう普及しないのだと、ドラゴンクエストをちゃんと作ってそれをオンラインゲームにするという志でなければ、日本にオンラインゲームMMORPGを普及させることはできないんだという決意の表れのように思いました。そして最後にプロデューサーから、これなら自分も遊んでみたいと思うMMOを作ってほしいという言葉を聞いて、どうなっても知らないですよと言って引き受けることにしました。ただ、このプロデューサーの言葉がウソだったということは、後ほど分かりますので後でゆっくりお話ししたいと思います。

 

 

 

MMORPGを日本でメジャーにしようという決意

 

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というわけでですね、ディレクターに就任して最初に決めたことです。先ほどの話と重複になりますが、このゲームでMMORPGというジャンルを日本でメジャーにしようと。と、柔らかく書きましたけれども、現実はもう少し悲壮感がありまして……このゲームで、もしドラゴンクエストというタイトルを使ってMMORPGを日本でメジャーにできなかったらこのジャンルは日本でメジャーにできないんじゃないか、と思うほどの決意を持っていました。これは1986年にドラゴンクエスト1が日本にRPGというジャンルをメジャーにしました、それと同じことをドラゴンクエストシリーズの第十作目でやろうというように思いました。

では実際の開発に話は入っていきたいと思います。まずですね、ドラゴンクエスト10の開発コンセプトについてお話しをしたいと思います。その前にですね、先ほどからメジャーじゃないとか普及してないとか何度か口にしていますが、そもそもMMORPGは本当に日本で普及してないんですかねぇ、ということを数字で証明したいなぁと思ったので、ちょっと根拠になるかどうか分からないんですが、数字を持ってきましたので、参考程度に聞いていただければなと思います。

 

 

 

世界最大のMMORPG『WOW』との比較

 

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日本のゲーム市場は世界市場のおよそ14%です。こちら4年前にここでセッションをしたときにも、同じことを調べたときにも14%という数字が出てきたので、年によって多少前後することはあったにせよ、だいたいこのぐらいが世界の市場における日本の市場の存在感なのかなと思います。そこにですね、ご存じの方はご存じだと思いますが、世界最大のMMORPGである『Word of Warcraft』通称『WOW』は、これは本当に巨人タイトルでして、瞬間最大有料プレイヤー数が世界で1200万プレイヤーと、これギネスブックに載っているそうです。ただ、WOW自体はすでに運営から9年が経過しているMMOでして、最近は減ったとはいえ800万をちょっと下回ったぐらいということになっていますけれども、それでも大変な数のプレイヤーがいるゲームです。この計算にそんなに意味があるかは分かんないんですけれども、じゃあその記録された最大の1200万に14%をかけてみたらどんなもんだろうとすると……有料のプレイヤー数です、ただのプレイヤー数ではありません、無料のゲームとかとは少し違う話ではあるのですが、瞬間最大有料プレイヤー数が、となると日本で168万プレイヤーぐらいが見込めたら、普及してると言えるんじゃないかと思います。ですが、先ほどのドラゴンクエスト10の売り上げからもご推測いただけると思いますが、そんなゲーム日本にはありません。ですので、日本でMMORPGが普及しているとは少し言えないのかなぁとは思っています。

 

 

 

では、じゃあなんでドラゴンクエスト10で遊ばないのか?

 

つづきます。

 

その3 未プレイの方に知ってもらいたいドラクエ10の開発コンセプト CEDEC2013藤澤仁D講演その3

 

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